こんにちは、認知症ZEROです。
「自分は昔からショートスリーパーだから大丈夫」
——そう思っている方は少なくないのではないでしょうか。
今回は、船木式認知症リスクスコアリングのチェック項目のうち、睡眠時間・座り仕事・朝日を浴びる習慣という3つのテーマについて伺いました。
どれも「生活習慣」として見過ごされがちですが、認知症リスクという視点で見ると、実は無関係ではないという結論に至ります。
※本記事の内容は、船木先生の長年の臨床経験に基づく見解です。
1平均睡眠時間6時間未満は「あり」のグループに入ってしまう


船木先生
「ショートスリーパー的な方は、6時間未満の睡眠しか取れてない方は、これは認知症的にはあまり良くない行動ありのグループに入ってしまいますね」

木曽さん
「これって先ほど伺った、寝つきが良くないっていうのとも関係性はあるんでしょう?」
睡眠時間が短いと、頭の中の掃除そのものは始まっても作業時間が足りず、クリーンアップを完全には終えられません。
しかも、睡眠時間が短い状態は、その年だけの問題では終わりません。
平均睡眠時間が6時間未満だという人は、今年だけでなく毎年そうである傾向が強く、これがすでに習慣として定着してしまっているというところが、注意すべきポイントです。
その根拠として挙げられているのが、細胞の設計図であるDNAを格納する染色体の末端を守る「テロメア」という部分です。

船木先生
「それが年と共に、テロメアって言うんですけども、どんどん短くなってくるんですよ。短くなればなるほど誤作動が増えて、最終的にはもう似ても似つかない偽物の細胞を作るようになってしまうんですよね。それが睡眠時間が短いと、短くなる加速度合いが急加速するんですよ」
睡眠時間の短さが、細胞レベルの老化を加速させる要因になり得るという点は、押さえておきたい結論です。
ただし、「自分はショートスリーパーだ」と語る人の申告そのものにも注意が必要です。
この点については、関連を示す研究とそうでない研究の両方があり、評価が分かれています。
1日何時間寝ていたかという記録は残らないため、結局は自己申告に頼ることになり、短い時間で頑張ってこれたことをよしとする人ほど、実際の睡眠時間を短く見積もりがちです。
忙しい時期には、眠れなかった時間をつい短く申告してしまうことも少なくありません。
そのため、正確な記録を取らない限り、3時間睡眠と5時間睡眠の違いが研究の対象期間では見分けられないということも起こります。
自己申告に頼らず、実質的な睡眠時間をきちんと把握すること。
そのうえで、基本軸としては7時間の睡眠を取ることが望ましい、という考え方です。
2座り仕事がほとんどの生活に潜むリスク


木曽さん
「座り仕事がほとんどである、ほとんどだった。これはどういうニュアンスでこの項目を作られたんでしょう?」

船木先生
「2000年代になってからだと思いますけれども、ほとんど1日座ってパソコン打ってるとかっていう人って、今珍しくないですよね」
リモートワークが当たり前になった今、1日中座って過ごす人は珍しくありません。
しかし、その体を調べると見えてくるものがあります。
血液の循環が悪くなり、上半身の重みをお尻と背中だけで受け止め続けることで、一定の圧力が筋肉にかかり続けます。
その結果、ありとあらゆる病気の発症リスクが高くなっていきます。
体操しながらパソコンを打つ人はいませんし、「30分に1回体操を」と言われても実践できる人はほとんどいません。
そうした座りっぱなしの状態が何年、何十年と積み重なると、体中に炎症の火を巻き散らすような慢性炎症のスイッチが入ります。
それが糖尿病や高血圧のスタートになり、自己免疫疾患や精神面の不調の原因にもなり得るものです。
そもそも人間は、座り仕事をするようには作られていないという見方もできます。
これは認知症に限らず、様々な病気に対するリスクになりうる項目です。
話は歴史にも及びます。

船木先生
「学校教育って基本的に長時間座るじゃないですか。先生はいいですけど、生徒はずっと座ってなきゃだめじゃないですか。あれ、寺子屋の時代って座ってろっていうルールなかったんですよ。実は自由だったんですよ」
近代の学校教育のスタイルが確立してから急増した病気の一つとして、便秘が挙げられます。
元々トイレに行けないというプレッシャーが、排泄を妨げていたと考えられるためです。
電車移動などの場面でも、座るより立っている方が望ましいと言えます。
現代社会では椅子に座ることが基本動作になってしまっている部分はありますが、座り続ける時間をなるべく減らそうという意識を持つことが、認知症を含めた病気のリスクを下げる一歩になります。
3朝日を浴びる習慣が体内時計を整える


木曽さん
「朝日が登る時間に起きて、実際に朝日を浴びる習慣がある。この日差しに関しては、どういったところからこのチェック項目を入れられたんですか?」

船木先生
「朝起きるっていうことは、非常に大事なことなんですよ。江戸時代までは、朝日と共に起きて、仕事をして、日が沈んだら家に引っ込む。それを繰り返してた時代って、体内時計と自然の時計が一致してたんですよ」
時計という「人の手で作り出した時間」を意識せずとも、体の時間は太陽と地球の動きに連動していました。
すべてが馴染んでいたからこそ、病気というものがあまり目立っていなかったとも言えます。
これは単なる精神論ではなく、体の仕組みに根ざした話です。
朝日を実際に目に入れることで、脳に「朝だ」というスイッチが入り、そこから何時間後かに自動的に「もう夜だ、眠る時間だ」というスイッチへ切り替わっていきます。
この最初のスイッチがきちんと入らないと、睡眠状態を作るメラトニンというホルモンがうまく出なくなってしまいます。
成長ホルモンも、大人になってから大事な役割を担っています。
睡眠時間にきちんと分泌されることで各臓器の状態を整え、エネルギーを貯蔵し、余計なものを排出する働きをコントロールしています。
切り替えがうまくいかないと、常に何かをやり残しているような状態がずっと続いてしまうことになり、脳はもちろん、腸にも悪影響が及びます。
朝日を実際に浴びること自体が、体内時計とホルモンの働きを整える具体的なスイッチになるという点は、日々の生活の中で意識しやすいポイントです。

船木先生
「朝日は本当にできれば浴びてもらって。曇りの日でも、太陽が登ってくるはずの方向を見て。私は朝起きたら朝日が刺すように、冬でもカーテン閉めないので」
便利な世の中になった分、こうした自然のリズムから離れてしまっていることが、体にとっての弊害になっているケースは少なくありません。
💡まとめ
- 平均睡眠時間が6時間未満の状態は、認知症リスクという観点では注意が必要なグループに入る
- 睡眠時間の自己申告はあてにならないことが多く、実質的な睡眠時間を把握することが大切
- 基本軸としては7時間程度の睡眠を目指したい
- 座り仕事中心の生活は血流の悪化や慢性炎症につながり、認知症以外の病気のリスクも高める
- 朝日を浴びる習慣は、体内時計とメラトニンの働きを整える具体的なスイッチになる
- ショートスリーパーと認知症の関係については研究結果が一致しておらず、断定的な結論ではない点に留意したい
本記事の内容はこちらのYouTube動画でお話ししています。
睡眠時間・座り仕事・朝日という、誰もが日常で意識できる3つのテーマについて、船木先生が具体例を交えて解説しています。ぜひご覧ください。
※本チャンネルの内容は、医療・健康に関する情報提供を目的としたものであり、特定の診断・治療・予防効果を保証するものではありません。気になる症状がある場合や治療中の方は、必ず医師など専門家へご相談ください。
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