こんにちは、認知症ZEROです。
「これまでいいことはなかったし、これからもないだろう」
——そんな考えが、なんとなく頭をよぎることはありませんか?
今回は、認知症リスクチェックの16〜20問目の後編として、悲観的な思考の癖と、嫌な相手を我慢しながら働くことが脳に与える影響について、船木先生に伺いました。
結論から言うと、悲観的に考える癖と、嫌な人間関係を我慢し続けること。この2つが、認知症のリスクを高める方向に働きます。
※本記事の内容は、船木先生の長年の臨床経験に基づく見解です。
1「いいことがなかった」という思い込みが脳を弱らせる


木曽さん
「これまでさほどいいことはなかったし、これからもないだろうという、非常に悲観的な質問になりますけども。これプラス3。これ、どういうことですか?」

船木先生
「これね、私も文章をじっくり考えたんですけれども。これまでですよね、さほどいいことはなかったし、これからもないだろうっていう、相当しつこく、その人にこう癖がつけられてしまった、考えのパターンですよね。いわゆるネガティブ思考です」
この質問に当てはまる方は、認知症のリスクが高くなります。

船木先生
「いいことがあったかなかったかは、その人のもう意味付けなんですよ」
どんなことでも
「本当についてるな」
「結構いい人に会うな」
「今日も良かったな」
と考える癖を持っている人は、文字通り癖として、常にそう感じられるようになります。
逆に、「さほどいいことはなかった」という考え方が、しつこく癖づけられてしまっている状態もあります。
これを悲観的に「ピンチだ、ピンチだ」と捉えていると、それは脳にとってあまり良い方向の思考ではありません。
「これからもないだろう」と考えるなら、脳は「あなたがそれを望んでいるんだ」と解釈します。
要は、刺激を求めない道筋を選ぼうとしてしまうのです。
でも、いいことは、いくらでもあるはずです。
見方ひとつで、変えていけます。
では、その見方を変えると、脳には何が起こるのか。
次に見ていきましょう。
2ポジティブな行動予測が脳への強い刺激になる

「今日も良かったな」と考える癖がついている人は、脳の老化がゆっくりで、傷を直す力も強くなることが、今わかってきています。
では、悲観的な考えは、どこから来るのでしょうか。
辛いことや悲しいことが起きて、その時に悲しいと感じたこと。
それは、「いいことはなかった」「だからこれからもないはずだ」ということとは、何の結びつきもありません。
それを結びつけているのは、自分だけです。
次にいいことがあるかもしれないのに、「ない」と決めつけてしまうのは、自分の価値のつけ方の問題です。
悲観的になっているだけで、いいことはいくらでもあると思えれば、脳もその喜ぶ方向で活性化されていきます。

船木先生
「結局ですね、きっと明日もいいことがある、明日はいいことがあるっていう、その行動予測。未来予測っていうか、明日はとか明日もっていう考えって、それに向かってまた準備しようとする頭の刺激になるんですよ。非常に強い刺激になるんですよ」
そういう気持ちでいると、実際に「いいな」と思えることが、本当に起こってきます。

木曽さん
「今のお話の一節で思ったのは、例えば、明日嫌なことがあるって思うよりも、いい1日にしようと思って準備をする方が、前向きな捉え方じゃないですか?」
患者さんを見ていて、楽しそうにしている人、認知症から遠いなと思う人ほど、若い時にすごく苦労したり、ひどい目にあったりしています。
「なんでこんなに明るくしていられるんだろう」と思う人が、うまくいったのは、この3年ぐらいだよ、という人もいます。
でも、報われた今が幸せであればいい。
その人にとっては、「大変だったけど、まあなんとかなるよ」ということなのです。
この癖は、これからでも変えられるのではないでしょうか。
3嫌な人間関係の我慢が脳のバッテリーを消耗させる

20個目の質問は、「どうしても嫌な相手がいて、本当は仕事に行きたくない」という内容です。
これは+2ポイントで、これも結構なストレスとして、マイナスの印になります。
つまり、認知症を進める側の原因になりかねません。

木曽さん
「どうすればいいんでしょう?」

船木先生
「私はやめればいいんじゃないかなと思っています」
逃げる、やめるというのは、簡単に言えることではありません。
けれど、すごく大事な選択肢だと思います。
脳が1日に使える「考える力」には、容量があります。
悩みの中でも、人間関係にかかる悩みは持続します。
「またあの人に会っちゃった」
「また舌打ちされたように見える」
「私のことを無視する」
——そうしたことが、頭の中の電源マークを、携帯のようにどんどん減らしていきます。

木曽さん
「そっか。そのいわゆる電力消費が激しくなるわけですね」
他のことを考えたり、勉強したり、楽しんだりするためのバッテリーが残らなくなり、そっちに持っていかれてしまうのです。
この負荷が高くなっていく状態は、脳にとって良くありません。
4コルチゾールと睡眠不足が生む悪循環

「ここさえ乗り切れば」
「ここを頑張らなきゃ」
嫌だけど我慢するという時に、たくさん出るのがコルチゾールというホルモンです。
試験前の一夜漬けのような、頑張る時に必要なホルモンで、体を頑張らせて、なんとかやり遂げさせる力を持っています。
その反面、明確に体を傷つけます。

船木先生
「あまりも繰り返されると、その神経の組織を含めて、あっちこっちこう傷ができていくんですよね」
これは仕事の負荷だけでなく、人間関係の負荷も含めてダメージになっていきます。
毎日顔を合わせる相手と対峙しなければならない状況では、このダメージは蓄積していくしかありません。
さらに、悩みが深くなると、家に帰ってぐっすり、朝6時、7時までじっくり寝ようということが、なかなかできなくなります。

船木先生
「頭を直す時間も短くなるんですよ」
傷ついたところを直す、配線を直す時間も少なくなります。
この悪循環が続くと、ダメージが蓄積して、結果的にそこから退避しようとして、認知症に行きついてしまう可能性があります。
甘いものや小麦系、ラーメンなど、神経を傷つけやすいものを、寝る直前に食べたり飲んだりして寝てしまう習慣も、この悪循環に追い打ちをかけます。
すっきりしない頭で朝起きて、またあの人に会う
——この繰り返しを何十年も続ければ、辛いものです。
5仕事は簡単にやめられない現実とどう向き合うか

「本当は仕事に行きたくない」という悩みが厄介なのは、あくまで仕事だから、という点です。

船木先生
「あくまで仕事だから問題なんですよ。例えばサークルだとか、社会人の野球のチームだったら、やめろって話でも、なかなか仕事だからやめられないじゃないですか」
ここまで頑張ってきたのに、それを今捨てちゃうのか、という葛藤もあります。
だから踏ん切りがつかず、余計に傷を深くしてしまうのです。

木曽さん
「本当はやめられたらこんな楽なことはないんだけど、家族がいる、例えばローンがあるとか、色々守っていかなくちゃいけないものがあるっていう時に、捨てきれないっていうところが、結局、認知症へのダメージになってしまうってことですね」
本当はやめられたら楽なのに、それができない。
その葛藤の中で、傷を深くしてしまうのです。
前向きな見方で、いい1日にしようと準備をする。
そこから、少しずつ整えていきましょう。
💡まとめ
- 「いいことがあったかなかったか」は本人の意味づけ次第であり、悲観的な考え方の癖が認知症リスクを高める可能性がある
- 「明日もいいことがある」という前向きな行動予測は、脳への強い刺激になり、修復力を高めることにつながる
- 嫌な人間関係の悩みは持続しやすく、脳が使える「考える力」のバッテリーを大きく消耗させる
- 我慢が続くとコルチゾールが過剰に分泌され、神経を傷つけ、睡眠不足による脳の修復不足という悪循環に陥りやすい
- 仕事は簡単にやめられないため、葛藤の中で傷を深くしてしまう
本記事の内容はこちらのYouTube動画でお話ししています。
認知症リスクチェックの後編として、悲観的な思考の癖や人間関係の我慢が脳にどう影響するのかを、船木先生がわかりやすく解説しています。ぜひご覧ください。
※本チャンネルの内容は、医療・健康に関する情報提供を目的としたものであり、特定の診断・治療・予防効果を保証するものではありません。気になる症状がある場合や治療中の方は、必ず医師など専門家へご相談ください。