こんにちは、認知症ZEROです。

✔️ 家族にも言えない趣味がある
✔️ 昔の歌を今でもフルコーラスで歌える
✔️ 誰かに仕返しをしてやりたいと思っている

——こうした自分の一面を、なんとなく「良くないこと」だと感じたことはありませんか?

今回は、船木先生に認知症リスクチェックの項目を伺いながら、一見ネガティブに見えるこれらの特徴が、実は脳の元気さを示すサインになっているというお話をしていただきました。

趣味への執着心、音楽と記憶の結びつき、そして怒りという感情の奥にあるものについて、一つずつ見ていきます。

※本記事の内容は、船木先生の長年の臨床経験に基づく見解です。

船木式認知症スコアリングシートのダウンロードはこちら

1人に言えない趣味がある人は、実は脳が元気なサイン

0:43頃/秘密の趣味について話す2人
船木先生

船木先生

「人によっては、例えば、実はあの男性に多いんですけどね。奥さんに言ったら絶対にもう激怒されるから、実は自分の車をあっちこっちこっそり改造してるんだとか、そこにすごいお金をかけてるんだとか、っていう人、結構いるんですよ」

絶対に知られたくないと思いながらも続けたい趣味がある

——それは相当な思い入れや執着心があるということです。

信念があり、継続した学びがあり、情報収集をし続けるほどの熱がある。

家族に言えないような趣味に強くのめり込んでいること自体、脳の活性化につながっているサインとして見ておきたいところです。

何にも夢中になれない、何にもお金や時間をかけたいと思わない状態の方が、むしろ気にかけた方がいいのかもしれません。

2フルコーラスで歌える歌が30曲ある人は記憶力が保たれている

1:49頃/懐メロのチェック項目について話す様子

音楽と私たちの記憶は、ものすごく強く感情に紐付けられています。

ある出来事の思い出には、必ずと言っていいほど何かが一緒に記憶されています。

匂い、音楽、温度、人のぬくもり

——その中でも「聴力」と「音」と「香り」は、強いインパクトを持っています。

オープニングにもエンディングにも音楽が一切流れない映画は、まず見たことがないはずです。

それくらい、感情と時間の流れを一度に思い出させる大事な装置が、音楽なのです。

70年代のヒットミュージックを聞けば、その時代の空気ごと蘇る。それは記憶に対するインパクトが、それだけ強いということです。

記憶は単なるデータではなく、体験そのものです。感情抜きの記憶はありません。

楽しかった、腹が立った、なんであんなことをしてしまったんだろう

——そうした強い感情を思い出すきっかけとして、音楽は大きな鍵になっています。

船木先生

船木先生

「その歌詞の一部が思い出せなくてもいいんですよ。ただ、その歌詞を思い出せば思い出すほど、当時のそれに関連した人の思い出、感情、その当時の物語、ご自身の時間の流れの中の物語が、ちゃんと1本の線で結ばれてるのを、非常に実感しやすい」

木曽さん

木曽さん

「そう考えると、あ、僕はこれ、間違いなく色々紐付けられたものが蘇ってきたので、当てはまるなという気がします」

フルコーラスで歌詞を思い出せる曲があるというのは、脳のネットワークがしっかりと保たれている証拠です。

思い出せる歌がある方が、脳にとっては良いサインなのです。

3「仕返しをしたい人がいる」ことも脳の健康サイン

7:25頃/仕返しと怒りの感情について話す様子
船木先生

船木先生

「よく言われますよね。愛情の反対語って何ですか?」

木曽さん

木曽さん

「え、憎しみ」

船木先生

船木先生

「違いますよ。ですけど実際には、心理学で言うと無関心です」

強い怒りや憎しみという感情は、実は対象物への強い関心があるからこそ持てるものです。

人間関係が自分の中に強く残っているからこそ、憎しみが持続し、回収してやりたいという気持ちが生まれます。

つまりそこには、強い人間関係が存在しているということなのです。

人は人と人との関係、その距離感の調整をずっと繰り返しながら生きています。

誰の助けも借りずに1人で静かに暮らしたいという生き方をする人も中にはいますが、刺激がないからこそ、人間関係こそが人を人たらしめる大事な土台だとも言えます。

その関係を自分から放棄してしまうと、生きていく軸そのものがなくなってしまうようなものです。

愛することと憎しむことは正反対のようでいて、その感情の深さで言えばどちらも同じくらいの強い刺激がかかっています。

そこに執着しすぎることで自分を消耗してしまう面は、愛情についても憎しみについても共通しています。

人は憎しみにとらわれると、自分が主になって相手をやっつけたいと思うものです。

ところが、実際に相手を追い詰めた人たちの経験を聞くと、「自分は一体何をしたくてここまで憎んでいたんだろう」ということになります。

その後どんな気持ちになったかを追跡して聞いていっても、「もう本当によくやってくれた」「これで気持ちが晴れた」という人の記録を、私は読んだことがありません。

人とのコミュニケーション、人と人との距離感の取り方から完全に離れてしまうことは、人間でなくなってしまうことに等しいとも言えます。

嫌いな人がいない、仕返ししたい人がいないということの方が、むしろ珍しいことなのかもしれません。

それくらい気持ちを傾けるものがあることが、人にちゃんと関心を持ち、人間らしく生きているということなのです。

💡まとめ

  • 家族にも言えないほど熱中している趣味があるのは、脳が活性化しているサインとして捉えられる
  • フルコーラスで歌詞を暗記している歌があるのは、記憶のネットワークがしっかり保たれている証拠
  • 「仕返しをしたい」という強い感情も、対象への強い関心・人間関係の証であり、それ自体が人間らしさの表れ
  • 逆に、何にも夢中になれない、誰にも関心を持てない状態の方が、注意して見ておきたい

本記事の内容はこちらのYouTube動画でお話ししています。

秘密の趣味、懐メロ、怒りの感情——

一見マイナスに見える特徴が脳の元気さを示すサインになるという、船木先生の興味深いお話をぜひご覧ください。

※本チャンネルの内容は、医療・健康に関する情報提供を目的としたものであり、特定の診断・治療・予防効果を保証するものではありません。気になる症状がある場合や治療中の方は、必ず医師など専門家へご相談ください。