こんにちは、認知症ZEROです。
「もう嫌でしょうがなかった仕事をようやく辞められた」
「気の合わない人間関係からやっと離れられた」
——そんな、誰もが羨むような環境の変化のあとに、なぜか認知症の症状が進んでしまう。
そんなケースがあることをご存知でしょうか。
今回は、船木先生に「認知症になりにくい人に共通する特徴」について伺いました。
長年、数多くの患者さんを診てきた中で見えてくるのは、ストレスの有無と、脳が「考え続ける」ことの関係です。
※本記事の内容は、船木先生の長年の臨床経験に基づく見解です。
1南の島で見た100歳超えの高齢者たちの共通点


船木先生
「私がある南の島に赴任していた時期、100歳を超える患者さんを確か当時8〜9名ぐらい診察していたんですよ」

木曽さん
「その島には、そういう方がたくさんいらっしゃったってことですか?」
船木先生が診ていた100歳超えの方たちには、ある共通点がありました。訪問診療で家に伺っても、部屋にいないことがよくあったのです。
行き先は畑仕事や牛の世話。100歳を超えてなお、自分で作った深い造りの風呂に自力で入っていたおじいちゃんもいました。
そうした方々には、認知症らしい症状がほとんど見られませんでした。
一方で興味深いのは、当時60代・70代・80代という、島の中では「若い世代」にあたる人たちのほうに、むしろ認知症らしい症状を持つ人が多かったという点です。
食事の欧米化などの影響も考えられますが、それだけでは説明しきれない部分が多くあります。
2認知症の症状が始まる人に共通する「ストレスの消失」

長年、認知症に近づかない人たちの生活の癖や考え方の癖を見続けてきた中で見えてくるのは、ひとつの共通点です。
それは、認知症の症状が始まりかけている人たちに共通する行動です。

船木先生
「ある意味、ストレスがなくなるっていうことですね。僕らが普通に意識してるストレスを感じにくくなった人ほど、認知症の症状が出やすくなります」
たとえば定年退職や、長年嫌で仕方なかった仕事を辞めたタイミングです。生活が良い方向に激変するはずのその瞬間から、症状が進み始めるケースがあります。
3なぜ嫌なストレスから離れた途端に症状が進むのか


木曽さん
「撮影の合間でも話していましたが、人間って楽したいですよね。理想の環境が手に入ったなら、本来は歓迎しておきたいところですけど、そうじゃないんですか?」

船木先生
「ストレスも種類が大事で、人間関係のストレスがなくなった人ほど、私は認知症になりやすいと感じてますね」
引っ越しをきっかけに、あまり良くない人間関係から離れた途端に、症状が進んでいく
――そういうケースが実際にあります。
家族としては「あそこからさっさと離れてよかったね」と思っていたはずの環境の変化が、症状の進行と重なって見えてくるのです。
嫌な人間関係から離れた時の方が、むしろ認知症になりやすいのではないか。
そう感じさせられることがあります。
セルフマネジメントとして「嫌な人・場所から離れる」ことは一般的に良いとされていますが、それを実践してきた人の中にも、認知症になった方はいくらでもいるのです。
4脳が本来求めているのは「考え続けること」

考えることは、実は私たちの脳にとって一番嫌なことです。
勉強も仕事も本来は避けたい、できれば省エネで運転していたい。
それが脳の本来の性質です。

船木先生
「その考えるっていう処理を行い続けるきっかけって、大体仕事か人間関係なんですよ」
仕事の辛さ、経済的な辛さ、人間関係の辛さ——そのど真ん中にいる人が認知症になるケースは、ほとんど見られません。
本当に辛い状況では、脳は考えて解決しようとし続けているからです。

船木先生
「考え続けることは、認知症対策っていうよりも、私たちの脳みそは嫌だけど『考え続けるのがお前の仕事だ』っていう風に思ってるので。もしかしたら私たちの脳みそは、考え続けなきゃダメなんですよ」
考え続ける機能が正常に働かなくなると、脳はいわば回遊をやめてしまったマグロのような状態になってしまう可能性があるというわけです。
5不確定な出来事に向き合う仕事ほど認知症になりにくい


木曽さん
「そういえば、私が長くいる漫才協会には70代・80代の大ベテランが今も現役でステージに立たれていますが、確かに認知症の方を見たことがないですね」
船木先生が着目しているのは、「不確定な出来事」を扱う仕事です。
来月の収入が保証されていない芸人、その年の出来を天候や病気に左右される農家。
こうした人たちは、答えの出ない問いにひたすら向き合い続けます。

船木先生
「同じものを植えていても、ある年は全然ならないし、ある年はこんなに大きくなるのかっていう年もあるんですよ。分からない時ってひたすら考えるじゃないですか」
安定が保証されない環境ほど、脳は考え続けざるを得ません。皮肉ではありますが、それが結果的にいい刺激になっているのです。

船木先生
「仕事が欲しい、なんとかしなきゃっていう感覚って、おそらく現代社会のほとんどの人は今持っていないんですよ」
経済的にも人間関係的にも困りまくっている人ほど、実は毎日脳に強い刺激を与え続けているとも言えます。
そうした状況にある人こそ、「これだけ脳に刺激を与えているんだから、いつまでも元気でいける」と自信を持っていいのです。
💡まとめ
- 認知症の症状が始まりかけている人に共通するのは、ストレスを感じにくくなること、特に人間関係のストレスがなくなることだった
- 定年退職や嫌な人間関係からの解放など、一見良い変化のタイミングで症状が進むケースが見られる
- 脳は本来「考え続けること」を仕事だと捉えており、仕事や人間関係の辛さと向き合い続けている人ほど認知症になりにくい傾向がある
- 収入や結果が保証されない、不確定な出来事に向き合う仕事(農業・漁業・芸人など)は、脳にとって良い刺激になっている可能性がある
- 経済的・人間関係的に困難な状況にある人ほど、実は日々脳を働かせ続けているとも言える
本記事の内容はこちらのYouTube動画でお話ししています。
船木先生の長年の臨床経験から見えてきた、認知症になりにくい人の意外な共通点を詳しくお話ししています。ぜひご覧ください。
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