こんにちは、認知症ZEROです。
「認知症になると、記憶そのものが消えてなくなってしまう」
——そう思い込んでいませんか?
今回は、船木先生に「認知症の記憶はどうなっているのか」というテーマでお話を伺いました。
結論から言うと、記憶は失われているのではなく、取り出す力が落ちているだけかもしれない、という船木先生の臨床経験に基づく見立てをご紹介します。
※本記事の内容は、船木先生の長年の臨床経験に基づく見解です。
1記憶は本当に「消失」しているのか


船木先生
「私が見る限り絶対に失っていないと思います。呼び戻して欲しいという前に、全てが消えたはずはない」

木曽さん
「我々は記憶自体が消失してしまっている印象で受け止めてたんですけど、消失とは言いきれないってことですね」
認知症というと、記憶そのものが消えてしまう病気だと捉えられがちです。
しかし船木先生が繰り返し伝えているのは、記憶は「消去」されているのではなく、そこにデータとしてはあるのに、それを持ち出す力が一時的に落ちている状態だという見立てです。
パソコンに例えるなら、埃が溜まって接続が不安定になっている状態に近い状態です。メモリーの中にはちゃんと情報があるのに、うまく引き出せない。
だからこそ、初期の認知症の方が「思い出せない」と口にすること自体が、記憶がどこかに残っている証拠なのです。
2「忘れた」と「知らない」は違う


船木先生
「私たちは、忘れたっていう言葉と、最初から知らないっていう意味の知らないは、ちゃんと使い分けてるんですよ」
私たちが日常的に使う「忘れた」という言葉には、実は「元々知っていた・持っていた」という前提が含まれています。
船木先生が例に挙げているのは、政治家がよく口にする「失った」という言い訳や、ご自身のお母様が使っていた「見失った」という表現です。どちらも、元々そこにあった・持っていたことが前提になっている言葉です。
同じように、認知症の方が「思い出せない」と言うのは、記憶がどこかに存在しているからこそ出てくる感覚です。

木曽さん
「実は母方の祖父が認知症になったんですが、思い出したり忘れたりが結構不規則に繰り返されてた印象があるんですよ。これってそういうことなんですかね」

船木先生
「メモリーの中にあるんですよ」
思い出せたり思い出せなかったりを繰り返すのは、記憶そのものが行ったり来たりしているのではなく、記憶を引き出す接続が不安定になっている状態だと考えると、家族としての受け止め方も変わってきます。
3新薬の話からわかる、記憶が残っている根拠


船木先生
「その薬がやってることと、なぜ効くかを俯瞰してみると、やっぱり記憶はちゃんと残ってるんだっていうところが、私はすごく希望を持った話なんですよ」
アメリカで承認された高額な認知症治療薬についても、その薬の作用機序を見る限り、記憶そのものが失われているわけではないことが前提になっています。

木曽さん
「その残っているかもしれない記憶を復旧させる術が見つかれば、認知症は治るってことですか」

船木先生
「私は半分ぐらいは相当良くなると思うし、実際それ経験してきてます」
0が100にはならなくても、30、40、50と再現性を高めていくことができれば、それは大きな希望になります。 ただし、その「記憶を復旧させる手がかり」の具体的な中身については、今回は明かされませんでした。
4家族に必要なのは「覚悟」と「向き合い方」


船木先生
「これで終わり、この生活のこういうことを変えれば終わり、こういうサプリメントを飲めば終わりなんていうものは、最初に言っておきますけど絶対ないです」
大きな原因が複数あり、それを一つひとつ丁寧に見極めていく必要があります。
だからこそ、根本的な改善に向き合うには、周りの人たちが覚悟を持って理解していくことが欠かせません。

船木先生
「覚悟というのは、ご家族やお知り合いの方に向かう覚悟もありますけども、自分自身を見つめ直す覚悟だと思いますね」
長年、糖尿病や高血圧、さまざまな癌の患者さんを診てきた中でも、感情的に最も難しさを感じるのが認知症です。
それは、認知症が患者さん本人だけでなく、家族自身の「自分とは何か」を問われる病気だからです。

船木先生
「なぜこのお父さんお母さんがこういう記憶を失った様子を見る自分は、こんなに辛いんだろうか。そういうところを一緒に突き詰めていく大事な機会をもらってるのかもしれない」
記憶を取り戻すことだけを目標にするのではなく、患者さん自身が抱えている苦しみやもどかしさに寄り添い、それを共有し続けることが、結果として本人の改善を後押しすることにもつながるのです。
💡まとめ
- 認知症になっても、記憶そのものが完全に消失しているとは言いきれない
- 「忘れた」という言葉には、元々知っていたという前提が含まれている
- 新薬の作用機序からも、記憶が残っている可能性が示唆されている
- 症状の改善には、決まった一つの解決策があるわけではない
- 家族に必要なのは、記憶を取り戻してほしいという願いの前に、記憶は消えていないと信じる姿勢
- 認知症と向き合うことは、家族自身が自分を見つめ直す機会にもなり得る
本記事の内容はこちらのYouTube動画でお話ししています。
認知症の記憶が本当に消えているのか、船木先生が長年の臨床経験をもとに語っています。ぜひご覧ください。
※本チャンネルの内容は、医療・健康に関する情報提供を目的としたものであり、特定の診断・治療・予防効果を保証するものではありません。気になる症状がある場合や治療中の方は、必ず医師など専門家へご相談ください。