こんにちは、認知症ZEROです。

毎日何気なく食べているラーメンやパン、そして「今日は歩く時間がなかったな」という日々の積み重ねが、実は脳に静かなダメージを与えているとしたら――気になりませんか?

今回は、認知症リスクスコアリングの16〜20番目の質問について、船木先生に伺いました。

前編となる今回は、
16番目「経済的な問題」
17番目「小麦製品への好み」
18番目「1日の歩数」
の3項目を取り上げます。

血糖値の急激な変動と運動不足が脳に与える影響について、明確になってきていることをお話しいただきました。

※本記事の内容は、船木先生の長年の臨床経験および近年の研究知見に基づく見解です。

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1差し迫った経済的な問題――ストレスの"程度"が脳への影響を左右する

0:58頃/認知症リスクスコアリング16番目の質問を紹介するシーン

16番目の質問は「差し迫った経済的な問題を抱えている」というもので、スコアはマイナス4。

この数字だけを見ると、経済的な問題は認知症から遠ざかる要因のように見えるかもしれません。

船木先生

船木先生

「余裕はありませんが、なんとか生きていけるぐらいなんでマイナス1か2ぐらいかな。私は生きていくってストレスのもう連続じゃないですか」

木曽さん

木曽さん

「確かに。そうじゃないと、とっくに人類は滅んでますよね」

日々の生活の中で悩みや不安を抱えることは、ある程度であれば頭の良い刺激になります。

仕事の評価や人間関係についてずっと悩み続けている人はそう多くありません。ふと目に入った時に思い出す程度で、目の前の仕事の方に意識は向いていくものです。

ところが、これが「来月の家賃が払えないかもしれない」「今月で仕事をやめてくれと言われた」というレベルの、生死の問題に直接結びつくストレスになると、話が変わってきます。

船木先生

船木先生

「このまま行ったらもう養っていけないとか食っていけないって思うわけですよね。そういうところに結びつけることでもうダメだっていう風に、あの、結びつけてもうそれでダメになってしまうことの一歩手前で常にやっぱりもうずっと継続した進撃になって」

前頭葉には、問題に優先順位をつけて解決していく能力と、未来に備える能力があります。

この機能を使い続け、「次はこれを頑張ろう」と切り替えていけるうちは、ストレスは脳にとってとんでもない刺激になります。

しかし、あまりにも「同じ状態がずっと続いて結果が出ない」「これは無理じゃないか」という悪い想像が続くと、コルチゾールというストレスホルモンが出続け、自分で自分を潰してしまう状態に近づいていきます。

船木先生

船木先生

「深いところでそんなに辛いんだったら辛さを感じなくしてあげるよっていう風な力を持ってるんですよね。脳はね。その人守るためにですよ」

木曽さん

木曽さん

「そっか。だからそこは守ろうとした結果の認知症という側面はあるってことですね」

あまりにも辛いストレスの後、ある時期から急に認知機能が失われたり低下したりする方が実際にいます。

それは脳の防衛本能が、その人を辛さから守ろうとした結果とも言える側面があります。

とはいえ、これは認知症が良いものだということでは決してなく、あくまで「強いストレスが脳にどう作用するか」という一つの側面として理解しておくべきことです。

頭の刺激として適度に働くストレスと、脳を防衛モードに追い込むほどの強いストレスの境目、そのメーターの振れ方が難しいところです。

2小麦製品(ラーメン・パン)を好むと血糖値が急上昇する

10:20頃/17番目の質問「小麦製品が好きだ」を紹介するシーン

17番目の質問は「パンやパスタなど小麦製品が好きだ」。スコアはプラス2です。

木曽さん

木曽さん

「あ、でもラーメンは入りますよね」

船木先生

船木先生

「もちろんです」

現代の小麦製品、特に小麦粉は精製されすぎているという点がポイントです。

粒のまま食べる人はいないように、すりつぶされて粉にされたものは吸収が早く、血糖値を上げるスピードがものすごく速いという特徴があります。これは砂糖類も同じで、お米も精米の度合いによって上がり方が変わります。

船木先生

船木先生

「もう今は明確にこの血糖値の急激な上昇、血糖スパイクって言うんですけれども、その血糖スパイクが認知機能の低下にもう明確な結びつきを持ってる、関連してるっていうことはもうほぼ確かになってきてますのでね」

近年、一般の方でも持続的に血糖値を測れる機器が普及し、そのデータを見ると、小麦製品や砂糖類を摂った後の血糖値の上がり方は非常に急激です。

血流をたくさん必要とする脳にとって、この血糖スパイクは多大な影響を及ぼすことが、神経内科学領域でほぼ確かになってきています。

さらに、小麦には習慣性・中毒性に関わる物質が含まれているとされ、無性に食べたくなる感覚はお米にはあまりない特徴です。

船木先生

船木先生

「もう食べたいから行くんです」

木曽さん

木曽さん

「確かに、口がラーメンになってるって言い方するぐらいで、口がおにぎりになってるってあんまり言わないですもんね」

お米と小麦の違いは、単なる好みの問題ではなく、血糖値の急激な変動という観点でも、習慣性という観点でも、脳にとって注意すべきポイントが重なっているのです。

31日3000歩未満は要注意――歩くことで脳の「大掃除」が進む

15:10頃/18番目の質問「1日3000歩も歩かない」を紹介するシーン

18番目の質問は「1日に3000歩も歩かない」。スコアはプラス3です。

歩くことが全身、特に脳に対して良い刺激になることは、医学の世界では以前から状況証拠として知られていました。近年になって、そのメカニズムがより詳しく分かってきています。

船木先生

船木先生

「グリンパティックシステムって言うんですけども、脳っていうのは毎日大掃除をしてるんですよ」

脳は、寝ている間に大掃除をしています。誰もいなくなったオフィスをロボットが掃除して回るように、髄液を勢いよく流して老廃物を洗い流す仕組みです。

この掃除を効率よく行うために、睡眠中は脳が少し縮んで隙間が増えることが分かっています。

船木先生

船木先生

「実際に寝てる間っていうのは脳がちょっと縮んで隙間が増えるんですよ。余計効率よく洗うことができるようにちゃんと自分で自分の形を変えて」

木曽さん

木曽さん

「なってくるとその掃除しやすい環境にするためには何をやればいいかって話になってきますよね」

船木先生

船木先生

「昼間歩くことなんです」

この掃除の効率を高めるのが、脳由来神経栄養因子(BDNF)という物質です。

いわば超高性能なクリーナーで、これが夜たくさん出るためには、昼間しっかり運動することが一番良いとされています。

年齢や体力に関係なく、体を動かせば動かすほど、年齢が高い方でも増えることが分かっています。

一方で、デスクワークで一日中座りっぱなし、自宅と会社の往復だけという生活を続けると、この掃除の仕組みがうまく働かず、脳にゴミが溜まっていく状態になります。

船木先生

船木先生

「私たちが住む世界と体は本当にもう本当に同じなんですよ。ゴミ屋敷状態になっていって、何が悪いのって聞くまでもないのと同じような話なんですよ」

血液もリンパ液も、あらゆるものがスムーズに循環することが体にとって非常に大事です。

実際に何千件と訪問診療をしてきた中で、患者さんが抱える神経学的な症状と、住んでいる部屋の状態には、驚くほどの共通点が見られます。

船木先生

船木先生

「本当にそうだなっていう実感があるのは、大体その方が抱えてる病状、特にその神経学的な症状と部屋の状態がですね、結構似てるっていう」

木曽さん

木曽さん

「リンクしてるというか、こう置き換えるとなんか辻褄が双方合っていくっていう」

物が少なく片付いた部屋に住む人ほど、初期症状が出ても回復が早い傾向があります。

これは、整理・清掃する能力の高さが、脳の掃除機能の高さともリンクしているためかもしれません。

さらに心強いのは、脳の回路は年齢を重ねてもなお修復・再生されるという点です。

船木先生

船木先生

「今の医学がはっきりさせて始めてることは、70、80でも脳の新たな回路がきちんと修復されるし、新たにその回路が生まれてるってことなんですよ」

かつては「ある程度の年齢になれば、一度ダメージを受けた神経組織は治らない」と言われていましたが、現在の医学ではその考え方が更新されています。

食べ物や運動不足、ストレスといったネガティブな要因が積み重なって脳の不調につながる一方で、その修復力を高めるのが昼間の運動であり、これは何歳になっても発揮できる力です。

💡まとめ

  • 差し迫った経済的ストレスは、程度によって脳への影響が変わる。適度なストレスは前頭葉の良い刺激になるが、生死に関わるほどの強いストレスが続くと脳が防衛モードに入り、認知機能低下につながる側面がある
  • 小麦製品(パン・パスタ・ラーメンなど)は精製度が高く、血糖値を急激に上げる「血糖スパイク」を引き起こしやすい。血糖スパイクと認知機能低下の関連は、神経内科学領域でほぼ確かなことになってきている
  • 脳は睡眠中に「グリンパティックシステム」という仕組みで老廃物を洗い流している。この掃除の効率を高めるBDNFという物質は、昼間の運動によって生み出される
  • 1日3000歩未満の生活は、脳の掃除機能を弱める要因になり得る。歩くことは、年齢に関わらず脳の修復力を支える身近な習慣

本記事の内容はこちらのYouTube動画でお話ししています。

認知症リスクスコアリングの16〜18番目の質問について、船木先生が経済的ストレス・小麦製品・歩数という身近なテーマを掘り下げてお話しされています。ぜひご覧ください。

※本チャンネルの内容は、医療・健康に関する情報提供を目的としたものであり、特定の診断・治療・予防効果を保証するものではありません。気になる症状がある場合や治療中の方は、必ず医師など専門家へご相談ください。